【結局どっち?】RTX 4060 Ti vs RTX 4070: 性能・価格・コスパを徹底検証【WQHDゲーミング】

ゲーミングPCの写真

WQHD解像度での快適なゲームプレイを視野に入れたとき、NVIDIAのGeForce RTX 40シリーズの中でも、「RTX 4060 Ti」と「RTX 4070」の2つは、価格と性能のバランスから多くのゲーマーの選択肢に挙がる“王道”モデルだろう。しかし、「Ti」が付くか付かないか、この兄弟モデル、一体どれくらい性能が違って、どっちが“買い”なんだ? 今回は、この2つのGPUをあらゆる角度から徹底的に比較・検証していくぞ!

1. まずはスペックを確認: 基本的な性能差を徹底比較

百聞は一見に如かず。まずは、この2つのGPUのスペックシートを並べて、基本的な体力測定から始めよう。

スペック GeForce RTX 4060 Ti (8GB) GeForce RTX 4060 Ti (16GB) GeForce RTX 4070
アーキテクチャ Ada Lovelace Ada Lovelace Ada Lovelace
GPUコア AD106 AD106 AD104
CUDAコア数 4352基 4352基 5888基
ブーストクロック 2535 MHz 2535 MHz 2475 MHz
メモリ容量 8GB GDDR6 16GB GDDR6 12GB GDDR6X
メモリインターフェース 128-bit 128-bit 192-bit
メモリ帯域幅 288 GB/s 288 GB/s 504 GB/s
消費電力(TGP) 160W 165W 200W

 

1-1. アーキテクチャとコア数:心臓部の“格”の違い

NVidiaのチップのイメージ

どちらも最新の「Ada Lovelace」アーキテクチャを採用している点は共通だ。しかし、心臓部であるGPUコアが異なり、RTX 4070 (AD104) はRTX 4060 Ti (AD106) よりも上位のチップを搭載している。これに伴い、演算処理を行うCUDAコア数も、RTX 4070が約35%も多い。これが、基本的なパフォーマンスの“格”の違いを生み出す源泉となる。

1-2. メモリ性能:バス幅が“勝敗”を分ける? VRAM容量の罠

ここが両者を選ぶ上で最も重要かつ複雑なポイントだ!

RTX 4060 Tiはメモリバス幅が128-bitと、近年のミドルクラスGPUとしてはやや狭い。これがボトルネックとなり、高解像度での性能に影響を与える可能性がある。

一方、RTX 4070は192-bitのバス幅と、より高速なGDDR6Xメモリを採用しており、メモリ帯域幅はRTX 4060 Tiの約1.75倍にもなる。この差は、WQHD以上の解像度で特に顕著に現れる。

ここでややこしいのが、RTX 4060 Tiには8GBモデルと16GBモデルが存在することだ。一見、16GBモデルはRTX 4070の12GBより優れているように見えるが、バス幅は8GBモデルと同じ128-bitのまま。そのため、単純にVRAM容量だけで優劣は決められない、という“罠”があるんだ。

1-3. 消費電力(TGP):ワットパフォーマンスの優等生は?

消費電力(TGP)は、RTX 4060 Tiが160W、RTX 4070が200Wと、どちらも前世代に比べて非常に優れた電力効率を誇る。特にRTX 4060 Tiの電力効率は驚異的だ。ワットパフォーマンスを重視するなら、どちらも優秀な選択肢と言えるだろう。

2. 実力の“殴り合い”! ゲームベンチマークで性能差を丸裸に

PCゲームをプレイしている人のイメージ

スペックシートを眺めているだけじゃ始まらない。実際のゲームで、どれだけの実力差があるのかを見ていこう!

2-1. フルHD (1080p) ゲーミング:高リフレッシュレート環境での実力

フルHD解像度では、どちらのGPUも非常に高いパフォーマンスを発揮する。高リフレッシュレート(144Hz以上)のゲーミングモニターと組み合わせても、多くのゲームでフレームレートを維持できるだろう。しかし、この解像度ではCPU性能がボトルネックになるか、仕様上フレームレートが頭打ちになりやすく、両者の性能差は比較的小さい

2-2. WQHD (1440p) ゲーミング:両者が“最も輝く”主戦場

ここが両者の“真価”が問われる解像度だ! WQHDでは、RTX 4060 Tiも多くのゲームを快適にプレイできるが、RTX 4070は平均して15%~25%程度上回るパフォーマンスを発揮する。特に、RTX 4070の広いメモリ帯域幅が活きる場面が多く、より安定した高フレームレートを維持しやすい。WQHDで妥協なき快適性を求めるなら、RTX 4070に軍配が上がるだろう。

2-3. 4K (2160p) ゲーミング:どこまで戦える? “限界”を探る

4K解像度になると、この価格帯のGPUでは最高設定でのプレイは厳しくなってくる。また、ここでRTX 4060 Tiの狭いメモリバス幅が響いてきて、RTX 4070との性能差はさらに開く傾向にある。DLSSのようなアップスケーリング技術を使えば、どちらも4Kでのゲームプレイは可能だが、より快適な体験を求めるならRTX 4070、あるいはそれ以上のGPUが必要となるだろう。

3. “魔法”の技術「DLSS 3」とレイトレーシング性能:RTXシリーズの“真価”

RTX 40シリーズを選ぶ最大の理由の一つが、「DLSS 3」への対応だ。

3-1. DLSS 3(フレーム生成):フレームレートが“爆増”する必殺技

DLSS 3のデモ画像

DLSS 3は、AIを使って中間フレームを生成し、フレームレートを文字通り“爆発的”に向上させる技術だ。RTX 4060 TiとRTX 4070は、どちらもこのDLSS 3に対応している。これにより、GPU負荷の高いゲームでも、滑らかな映像でプレイすることが可能になる。ベースとなるGPU性能が高いRTX 4070の方が、DLSS 3を有効にした際のフレームレートも当然高くなるが、RTX 4060 Tiでもその恩恵は絶大だ。

3-2. レイトレーシング性能:リアルな光表現、得意なのはどっち?

NVIDIA Ray Tracingのデモ画像

レイトレーシングの表現は超リアルだ

レイトレーシングは、リアルな光の反射や影を描画する技術で、GPUに高い負荷がかかる。この性能は、CUDAコア数やRTコア数に依存するため、コア数で勝るRTX 4070の方が、レイトレーシング性能は高い。レイトレーシングを有効にした状態で快適にプレイしたいなら、RTX 4070が有利な選択となる。

4. 価格とコストパフォーマンス:君の“お財布”との相談だ!

値札の貼られたGPU

4-1. 実勢価格の“リアル”な差

RTX 4070は、RTX 4060 Ti (8GB)よりも1.5万円~2万円程度高い価格帯で販売されていることが多い。とはいえ、価格は日々変動しているため、現在の価格は下のリンクからチェックしてみてくれ。

 

4-2. 1フレームあたりの価格は? コスパで見る“最適解”

純粋なパフォーマンス(ラスタライズ性能)におけるコストパフォーマンスでは、価格の安いRTX 4060 Tiが優れている場面も多い。しかし、WQHD以上の解像度やレイトレーシング性能、そして将来性まで含めた「体験の質」に対するコストパフォーマンスを考えると、RTX 4070も非常に魅力的な選択肢となる。

4-3. 長期的な視点:ドライバ更新や将来性

両メーカーともに、ドライバの更新による性能改善や機能追加を行っている。どちらを選ぶにしても、長期的なサポートは期待できるだろう。

5. 【結論】RTX 4060 Tiが“おすすめ”な人

4060tiのイメージ

以下にあてはまるような人には、RTX 4060Tiがおすすめだ。

5-1. フルHD~WQHD解像度でのゲーミングがメイン

WQHD解像度でも多くのゲームは快適にプレイ可能。特にフルHDで高フレームレートを目指すなら、非常に強力な選択肢だ。

5-2. コストを抑えつつ、DLSS 3の恩恵を受けたい

RTX 4070より安価に、DLSS 3という最新技術の恩恵を最大限に受けたいユーザー。

5-3. VRAM 16GBモデルという“選択肢”

一部のVRAMを大量に消費するゲームや、生成AIのセルフホスティング、また将来的な安心感を求めるなら、RTX 4070よりも多い、16GBのVRAMを持つモデルのある4060Tiもありだ。とはいえ、場合によってはメモリの帯域幅がボトルネックになってしまう点には注意だ。

6. 【結論】RTX 4070が“おすすめ”な人

RTX 4070のイメージ

逆に、以下にあてはまるような人なら、RTX 4070に投資するだけの価値がある。

6-1. WQHDで“安定”した高フレームレートを維持したい

WQHD解像度をメインの戦場とし、比較的重たいゲームでも設定に妥協せず、安定した高フレームレートを求めるユーザー。

6-2. レイトレーシングを“高画質”で楽しみたい

レイトレーシングを有効にした状態で、より滑らかなゲームプレイを楽しみたいユーザー。

6-3. 将来のゲームにも対応できる“余裕”が欲しい

12GBのVRAMと広いメモリ帯域幅は、今後登場するであろう、より要求スペックの高いゲームに対しても“安心感”を与えてくれる。そのため、これから3年はこのGPUで戦うぞ!というユーザーにもおすすめだ。

7. まとめ

RTX 4060 TiとRTX 4070は、どちらもWQHDゲーミングをターゲットにした優れたGPUだ。コストパフォーマンスと電力効率に優れ、DLSS 3という強力な武器を持つ「RTX 4060 Ti」。そして、その一歩上を行く純粋なパフォーマンス、特にWQHD以上での安定感とレイトレーシング性能に長けた「RTX 4070」。どちらを選ぶべきか、その答えは、自分が最もプレイするゲームのジャンル、目標とする解像度とフレームレート、そしてレイトレーシングやDLSS 3といった機能をどれだけ重視するか。これらをじっくり考えれば、自ずと“最適解”は見えてくるはずだ。最高の相棒を選び抜き、快適なゲーミングライフを満喫してくれ!