自作PCに挑戦したり、PCパーツの情報を調べていると、「PCIe x16」や「PCIe x4」といった表記を目にすることがあるだろう。これは、「PCIe(PCI Express)」の「レーン数」と呼ばれるもので、PCの性能に大きく関わる重要な要素だ。今回は、このPCIeレーン数について、初心者にも分かりやすく解説していくぞ!
- 1. PCIe(PCI Express)とは?:PC内部の“データ高速道路”、復習
- 2. PCIeレーン数とは?:データの“通り道”の数を表す
- 3. PCIeレーン数の確認方法:どこを見ればいい?
- 4. PCIeレーン数の注意点:知っておくべき“落とし穴”
- 5. PCIeレーン数を活かす:グラフィックボードやSSDの性能を“最大化”
- 6. まとめ:PCIeレーン数を理解して、PCの“潜在能力”を引き出そう!
1. PCIe(PCI Express)とは?:PC内部の“データ高速道路”、復習
PCIeレーン数の説明に入る前に、まずPCIeについて簡単におさらいしておこう。
1-1. CPU、GPU、SSD… 各パーツを“繋ぐ”インターフェース
PCIe(Peripheral Component Interconnect Express)は、PC内部で、CPU、GPU、SSDなどの様々なパーツを接続するためのインターフェース規格だ。マザーボード上にスロット(差込口)として実装されており、ここに拡張カードを接続する。
1-2. 世代(Gen)によって“速度”が違う
PCIeには、世代(Gen)があり、世代が上がるごとにデータ転送速度が向上する。現在主流なのは、PCIe 3.0、PCIe 4.0、PCIe 5.0だ。
2. PCIeレーン数とは?:データの“通り道”の数を表す
PCIeレーン数とは、PCIeスロットにおけるデータの通り道(レーン)の数を表す。「x1」「x4」「x8」「x16」のように表記され、「x」の後ろの数字がレーン数を示す。
2-1. レーン数が多いほど“帯域幅”が広い
レーン数が多いほど、一度に送受信できるデータ量(帯域幅)が増え、データ転送速度が向上する。
2-2. x1、x4、x8、x16… 主なレーン数と用途
- x1:帯域幅が最も狭い。ネットワークカードやサウンドカードなど、比較的低速なデバイスに使われる。
- x4:NVMe SSDなどに使われる。
- x8:一部のハイエンドグラフィックボードや、RAIDカードなどに使われる。
- x16:帯域幅が最も広い。主にグラフィックボードに使われる。
2-3. 物理スロット形状とレーン数の関係
PCIeスロットの物理的な形状(長さ)は、レーン数によって異なる。x16スロットが最も長く、x1スロットが最も短い。ただし、物理的なスロット形状がx16でも、内部的にx8やx4で動作している場合もある。
3. PCIeレーン数の確認方法:どこを見ればいい?
PCIeレーン数は、以下の方法で確認できる。
3-1. マザーボードの仕様書:メーカーWebサイトやマニュアル
マザーボードのメーカーWebサイトやマニュアルに、各PCIeスロットのレーン数が記載されている。
3-2. BIOS設定画面:PC起動時に確認
PC起動時に特定のキー(Delキー、F2キーなど)を押してBIOS設定画面に入り、PCIe関連の設定項目を確認する。
3-3. OSのデバイスマネージャー:Windowsの場合
Windowsのデバイスマネージャーで、各デバイスのプロパティを確認する。
3-4. GPU-Zなどのツール:グラフィックボードの詳細情報
GPU-Zなどのツールを使えば、グラフィックボードが接続されているPCIeスロットのレーン数や、現在の動作レーン数を確認できる。
4. PCIeレーン数の注意点:知っておくべき“落とし穴”
PCIeレーン数には、いくつか注意すべき点がある。
4-1. CPUのレーン数制限:すべてのスロットがフルレーンで使えない場合も
CPUには、接続できるPCIeレーン数の上限がある。そのため、マザーボード上に複数のPCIeスロットがあっても、すべてのスロットをフルレーンで使えない場合がある。
4-2. マザーボードのレーン共有:複数のスロットでレーンを“分け合う”
マザーボードによっては、複数のPCIeスロットでレーンを共有している場合がある。例えば、x16スロットとx8スロットがレーンを共有している場合、x16スロットにグラフィックボードを接続すると、x8スロットはx8ではなくx4やx0(無効)で動作することがある。
4-3. 接続デバイスのレーン数:x16スロットにx4デバイスを挿すと?
x16スロットにx4のデバイスを接続した場合、x4の速度で動作する。逆に、x4スロットにx16のデバイスを接続した場合、x4の速度に制限されるか、そもそも動作しない場合がある(物理的に挿さらない場合もある)。
5. PCIeレーン数を活かす:グラフィックボードやSSDの性能を“最大化”
5-1. グラフィックボード:x16スロットに接続が基本
グラフィックボードは、x16スロットに接続することで、その性能を最大限に発揮できる。そのため、ほとんどのグラフィックボードはx16スロット用に作られているが、一部、×8スロット用のサイズの小さいGPUなども存在する。
5-2. NVMe SSD:x4接続で“高速”データ転送
NVMe SSDは、x4接続することで、SATA SSDよりもはるかに高速なデータ転送が可能になる。
6. まとめ:PCIeレーン数を理解して、PCの“潜在能力”を引き出そう!
PCIeレーン数は、PCの性能に大きく影響する重要な要素だ。レーン数が多いほど、データ転送速度が向上し、グラフィックボードやSSDなどのデバイスの性能を最大限に引き出すことができる。しかし、CPUのレーン数制限や、マザーボードのレーン共有など、注意すべき点もある。今回の解説を参考に、PCIeレーン数を理解し、あなたのPCの“潜在能力”を最大限に引き出してほしい!