PCの性能を左右する要素の一つとして、GPUやSSDといったパーツを繋ぎ、データのやり取りを高速に行うための「PCIe(PCI Express)」という規格も、非常に重要な役割を果たしている。今回は、このPCIe規格、特に「PCIe 4.0」と「PCIe 5.0」の違いについて、詳しく解説していくぞ!
- 1. PCIe(PCI Express)とは?:PC内部の“データ高速道路”
- 2. PCIe 4.0 vs 5.0:データ転送速度は“2倍”に!
- 3. PCIe 4.0/5.0対応デバイス:SSD、GPU、その他拡張カード
- 4. PCIe 5.0のメリットとデメリット
- 5. PCIe 4.0と5.0、どちらを選ぶべき?:用途と予算で“最適解”を
- 6. まとめ:PCIe 4.0/5.0を理解して、“快適”なPC環境を構築しよう!
1. PCIe(PCI Express)とは?:PC内部の“データ高速道路”
PCIe(Peripheral Component Interconnect Express)は、PC内部で、CPU、GPU、SSDなどの様々なパーツを接続するためのインターフェース規格だ。
1-1. CPU、GPU、SSD… 各パーツを“繋ぐ”重要な規格
PCIeは、マザーボード上にスロット(差込口)として実装されており、ここにグラフィックボードやSSDなどの拡張カードを接続する。
1-2. レーン数(x1、x4、x16…)で“帯域幅”が変わる
PCIeには、「レーン」と呼ばれるデータの通り道がある。レーン数が多いほど、一度に送受信できるデータ量(帯域幅)が増え、データ転送速度が向上する。一般的に、グラフィックボードにはx16、SSDにはx4のレーンが使われることが多い。
1-3. 世代が上がるごとに“性能”が向上
PCIeは、これまで数回のバージョンアップを重ね、性能を向上させてきた。現在主流なのは、PCIe 3.0、PCIe 4.0、そして最新のPCIe 5.0だ。
2. PCIe 4.0 vs 5.0:データ転送速度は“2倍”に!
PCIe 4.0とPCIe 5.0の最も大きな違いは、データ転送速度だ。
2-1. 理論上の最大転送速度:4.0は1レーンあたり16GT/s、5.0は32GT/s
PCIe 4.0のデータ転送速度は、1レーンあたり16GT/s(ギガトランスファー/秒)。一方、PCIe 5.0は、その2倍の32GT/sを実現している。
※GT/s (ギガトランスファー/秒) : 1秒間に何回データ転送できるかを表す単位。
2-2. 実際の転送速度:SSDやGPUの性能を“引き出す”
データ転送速度が向上することで、SSDやGPUなどのデバイスの性能を最大限に引き出すことができる。例えば、PCIe 4.0対応のNVMe SSDの読み込み速度は、最大で約7GB/s(ギガバイト/秒)だが、PCIe 5.0対応のNVMe SSDでは、さらに高速な読み込みが可能になる(理論上は最大14GB/s程度)。
2-3. 互換性:4.0と5.0、組み合わせは?
PCIeには下位互換性があるため、PCIe 5.0対応のマザーボードにPCIe 4.0対応のデバイスを接続したり、PCIe 4.0対応のマザーボードにPCIe 5.0対応のデバイスを接続したりすることも可能だ。ただし、その場合は、遅い方の規格の速度で動作する。
3. PCIe 4.0/5.0対応デバイス:SSD、GPU、その他拡張カード
PCIe 4.0や5.0の高速なデータ転送を活かせるデバイスとしては、以下のようなものがある。
3-1. SSD:NVMe SSDの性能を“最大化”
PCIe 4.0/5.0対応のNVMe SSDは、従来のSATA SSDよりもはるかに高速なデータ転送が可能だ。OSやアプリケーションの起動、ファイルの読み書きなどが劇的に高速化する。
3-2. GPU:グラフィックボードの性能を“向上”
PCIe 4.0/5.0は、グラフィックボード(GPU)の性能向上にも貢献する。特に、高解像度・高リフレッシュレートのゲーミング環境や、3DCG制作、動画編集などのクリエイティブな作業において、その効果を発揮する。
3-3. その他:ネットワークカード、キャプチャカード…
高速なネットワークカードや、キャプチャカードなど、PCIe 4.0/5.0の帯域幅を活かせる拡張カードは、他にも存在する。
4. PCIe 5.0のメリットとデメリット
PCIe 5.0のメリットとデメリットとしては、以下のようなものがあげられる。
4-1. メリット:高速データ転送、高性能デバイスの活用
PCIe 5.0のメリットは、何と言ってもその高速なデータ転送速度だ。これにより、SSDやGPUなどの高性能デバイスの性能を最大限に引き出し、PC全体のパフォーマンスを向上させることができる。特にAIやゲーミング用途、頻繁に大きなデータを書き込み・読み込みする人にとっては恩恵が大きい。
4-2. デメリット:対応マザーボード/CPUが必要、価格が高い
PCIe 5.0を利用するには、対応するマザーボードとCPUに加えて、GPUやSSDなど対応するパーツが必要となる。しかしながら、PCIe 5.0対応デバイスは、従来のデバイスよりも価格が高い傾向にあり、用途によってはコスパが微妙になってしまう。
5. PCIe 4.0と5.0、どちらを選ぶべき?:用途と予算で“最適解”を
PCIe 4.0と5.0のどちらを選ぶべきかは、PCの用途と予算によって異なる。
5-1. ゲーミングPC:4K/高リフレッシュレートなら 5.0 も視野に
最新のゲームを4K以上の解像度や高リフレッシュレートで楽しみたい場合は、PCIe 5.0対応のGPUとSSDを検討する価値がある。逆に、フルHDやWQHD、または4K60Hzで十分という人にとっては、そこまで恩恵はないかもしれない。
5-2. クリエイティブPC:動画編集、3DCG制作…
動画編集、3DCG制作、RAW現像など、大量のデータを扱うクリエイティブな作業を行う場合は、読み書きがより高速化したPCIe 5.0対応のSSDが効果を発揮する。
5-3. 一般用途:4.0でも十分?
Webブラウジング、メール、Officeソフトの利用など、一般的な用途であれば、PCIe 4.0でも十分な性能であり、使っていて大きな不自由を感じることは無いだろう。
6. まとめ:PCIe 4.0/5.0を理解して、“快適”なPC環境を構築しよう!
PCIeは、PC内部のデータ転送速度を大きく向上させる、重要な規格だ。それぞれの性能を理解したうえで、自分のPCの用途や予算に合わせて、最適な規格を選んでほしい!