パソコンを使っていると、本体が熱くなったり、ファンの音がうるさくなったりすることがあるだろう。特に、高性能なCPUを搭載したPCや、負荷のかかる作業(ゲーム、動画編集など)を行う場合、CPUの発熱は大きな問題となる。このCPUの熱を効率的に冷却するために、“非常に重要”な役割を果たしているのが「CPUグリス」だ! 今回は、このCPUグリスの効果や種類、選び方、そしておすすめの製品について、詳しく解説していくぞ!
- 1. CPUグリスとは?:“熱”を効率的に伝える“縁の下の力持ち”
- 2. CPUグリスの“絶大”な効果:塗るだけでPCが変わる!
- 3. CPUグリスの“種類”を知ろう:素材で変わる性能と扱いやすさ
- 4. CPUグリスの“選び方”:失敗しないための“5つ”のポイント
- 5. 迷ったらコレ! おすすめCPUグリス 厳選3選 (+α)
- 6. CPUグリスの“塗り方”:基本と注意点 (簡単解説)
- 7. まとめ:CPUグリスは“ケチらず”選ぼう! PCの“健康”と“性能”のために
1. CPUグリスとは?:“熱”を効率的に伝える“縁の下の力持ち”
CPUグリス(サーマルグリス、熱伝導グリスとも呼ばれる)は、CPUの表面(ヒートスプレッダ)とCPUクーラーの接触面(ベースプレート)の間に塗布する、ペースト状の物質だ。
1-1. CPUとCPUクーラーの“隙間”を埋める役割
CPUとCPUクーラーの表面は、肉眼では平らに見えても、微細な凹凸がある。この凹凸によって生じる微細な“空気の隙間”を、CPUグリスが埋める役割を担う。
1-2. なぜ必要?:空気は熱伝導率が“低い”
空気は熱伝導率が非常に低い(熱を伝えにくい)ため、CPUとCPUクーラーの間に隙間があると、CPUで発生した熱が効率的にクーラーへ伝わらない。CPUグリスは、空気よりもはるかに高い熱伝導率を持つため、この隙間を埋めることで、CPUの熱をスムーズにCPUクーラーへ伝えることができるのだ。
2. CPUグリスの“絶大”な効果:塗るだけでPCが変わる!
たかがグリス、と侮るなかれ。適切なCPUグリスを正しく塗布することは、PCの性能と安定性に“絶大”な効果をもたらす。
2-1. CPU温度を“劇的”に下げる:冷却性能を“最大化”
CPUグリスの最も重要な効果は、CPUの温度を効果的に下げることだ。CPUの熱が効率的にクーラーへ伝わることで、CPUクーラー本来の冷却性能を最大限に引き出すことができる。グリスの種類や塗り方によっては、数度から十数度もCPU温度が変わることがある。
2-2. PCの“安定動作”に貢献:熱暴走を防ぐ
CPU温度が高くなりすぎると、PCの動作が不安定になったり、突然シャットダウンしたりする「熱暴走」を引き起こすことがある。CPUグリスは、CPU温度を適正範囲に保つことで、PCの安定動作に貢献する。
2-3. CPUの“性能”をフルに引き出す:サーマルスロットリング抑制
CPUは、温度が高くなりすぎると、自身を保護するために動作クロックを下げる「サーマルスロットリング」という機能が働く。これにより、PCのパフォーマンスが低下してしまう。CPUグリスで冷却効率を高めることは、サーマルスロットリングの発生を抑制し、CPUが持つ本来の性能をフルに引き出すことにつながる。
2-4. パーツの“寿命”を延ばす可能性も
高温状態が続くと、CPUだけでなく、マザーボードなど周辺パーツの劣化を早める可能性がある。CPU温度を適切に管理することは、PC全体の寿命を延ばすことにも繋がるかもしれない。
3. CPUグリスの“種類”を知ろう:素材で変わる性能と扱いやすさ
CPUグリスには、主成分となる素材によっていくつかの種類があり、それぞれ性能や扱いやすさが異なる。
3-1. シリコングリス:安価で“扱いやすい”定番、性能は標準的
最も一般的で安価なタイプ。主成分はシリコンオイル。電気を通さない(非導電性)ため、初心者でも安心して扱える。ただし、熱伝導率は他のタイプに比べて低い傾向にある。
3-2. セラミックグリス:電気を通さず“安全”、性能は中程度
セラミック粒子を配合したグリス。シリコングリスと同様に非導電性で安全性が高い。熱伝導率はシリコングリスよりやや高い。
3-3. シルバーグリス(金属系):高い熱伝導率、ただし“導電性”に注意!
銀(シルバー)の粒子を配合したグリス。高い熱伝導率を持つが、金属粒子を含んでいるため電気を通す(導電性)製品が多い。塗布時にはみ出して基板上の電子部品に付着すると、ショートしてPCが故障する“危険性”があるため、取り扱いには注意が必要。
3-4. ダイヤモンドグリス(非金属系):最高クラスの熱伝導率、比較的高価
熱伝導率が非常に高いダイヤモンドの微粒子を配合したグリス。非導電性の製品が多く、安全性も高い。性能は最高クラスだが、価格も比較的高価になる。
3-5. カーボン系グリス(非金属系):高性能で非導電性、人気上昇中
カーボンナノチューブやグラファイトなどの炭素系素材を配合したグリス。高い熱伝導率と非導電性を両立しており、近年人気が高まっている。
4. CPUグリスの“選び方”:失敗しないための“5つ”のポイント
数あるCPUグリスの中から、自分に合ったものを選ぶためのポイントを見ていこう。
4-1. 熱伝導率 (W/m・K):性能重視なら“数値”をチェック!
CPUグリスの性能を示す最も重要な指標が「熱伝導率」だ。単位は「W/m・K」(ワット パー メートル ケルビン)で表され、この数値が大きいほど熱を伝えやすい、つまり冷却性能が高いことを示す。高性能を求めるなら、熱伝導率の高いグリスを選ぼう。
4-2. 塗りやすさ(粘度):初心者には“柔らかめ”がおすすめ
グリスの粘度(硬さ)も重要な要素だ。粘度が高すぎる(硬い)と塗りにくく、均一に伸ばすのが難しい。逆に粘度が低すぎる(柔らかい)と、はみ出しやすい。初心者には、適度な柔らかさで塗りやすいものがおすすめだ。注射器(シリンジ)タイプは量を調整しやすく便利。
4-3. 耐久性・寿命:長期間“安定”した性能を維持できるか
CPUグリスは、長期間使用すると乾燥したり、成分が分離したりして性能が低下することがある。製品によっては、耐久性や寿命が明記されている場合もあるので、チェックしておくと良いだろう。一般的には、1~2年ごとの塗り替えが推奨されることが多い。
4-4. 非導電性:ショートの心配がない“安全”なタイプを選ぶ
特に自作PC初心者や、グリス塗布に慣れていない場合は、「非導電性」のグリスを選ぶのが“鉄則”だ。万が一、グリスがはみ出して基板に付着しても、ショートする心配がないため、安心して作業できる。シリコン系、セラミック系、ダイヤモンド系、カーボン系の多くは非導電性だ。
4-5. 価格:性能との“バランス”を見極める
高性能なグリスほど価格も高くなる傾向にある。自分のPC構成や用途、予算に合わせて、性能と価格のバランスが良い製品を選ぼう。一般的な用途であれば、極端に高性能なグリスにこだわる必要はない場合も多い。
5. 迷ったらコレ! おすすめCPUグリス 厳選3選 (+α)
数あるCPUグリスの中から、特におすすめのモデルを厳選して紹介する。
5-1. 【定番&高性能】Thermal Grizzly Kryonaut:“冷える”と評判の高性能グリス
- 特徴:高い熱伝導率(12.5 W/m・K)を誇る、ハイエンドユーザー向けの定番グリス。カーボン系の非導電性で安全性も高い。やや粘度が高めだが、冷却性能はトップクラス。オーバークロックなど、CPUを限界まで冷やしたいユーザーに人気。
- ポイント:とにかく冷却性能を追求したい人向け。価格はやや高め。
5-2. 【高コスパ&扱いやすい】Arctic MX-4 / MX-5:性能と価格のバランスが“絶妙”
- 特徴:MX-4(8.5 W/m・K), MX-5(非公開だがMX-4より高性能)。長年にわたり高い人気を誇る、コストパフォーマンスに優れたグリス。非導電性で安全、粘度も適度で非常に塗りやすい。初心者からベテランまで幅広くおすすめできる。MX-5はMX-4の後継でさらに性能が向上している。
- ポイント:性能、価格、扱いやすさのバランスを重視する人、初心者におすすめ。
5-3. 【信頼と実績】Noctua NT-H1 / NT-H2:自作er御用達、安定した性能
- 特徴:NT-H1(非公開だが高性能), NT-H2(8.9 W/m・K相当※メーカー独自指標)。高性能CPUクーラーで有名なNoctua社のグリス。こちらも非導電性で安全。扱いやすい粘度と、長期間安定した性能を発揮する耐久性に定評がある。NT-H2はNT-H1の改良版。
- ポイント:信頼性、耐久性を重視する人、Noctuaファンにおすすめ。
5-4. 【上級者向け】液体金属グリス:最高性能だが“リスク”も
- 特徴:Thermal Grizzly Conductonautなどが代表的。ガリウムなどを主成分とした液体金属グリスは、他のグリスを圧倒する最高の熱伝導率を持つ。
- 注意点:非常に高い導電性を持つため、少しでもはみ出すとショートしてPCが即故障するリスクがある。また、アルミニウム製のクーラーには使用できない(腐食させるため)。塗布や除去も難しく、取り扱いには細心の注意と知識が必要。初心者には絶対におすすめできない。
6. CPUグリスの“塗り方”:基本と注意点 (簡単解説)
CPUグリスの効果を最大限に引き出すには、正しく塗布することが重要だ。
6-1. 古いグリスの“拭き取り”が重要
CPUクーラーを取り外したら、CPU表面とクーラーベース面に残っている古いグリスを、無水エタノールや専用クリーナーを含ませた柔らかい布(キムワイプなど)で綺麗に拭き取る。
6-2. 適量を“中心”に、または“X字”に
新しいグリスをCPU表面の中心に、米粒1つ分程度の量を出す。または、X字状に塗布する方法もある。
6-3. クーラー圧着で“均一”に広げる
CPUクーラーをCPUの上に慎重に乗せ、固定する際の圧力でグリスを均一に押し広げる。ヘラなどで事前に伸ばす方法もあるが、気泡が入りやすいため、圧着で広げる方が確実とされることが多い。
6-4. 塗りすぎ・少なすぎは“NG”!
グリスの量が多すぎると、はみ出して周辺を汚したり、冷却性能が低下したりする。逆に少なすぎると、隙間を十分に埋められず、熱伝導効率が悪くなる。適量を守ることが重要だ。
7. まとめ:CPUグリスは“ケチらず”選ぼう! PCの“健康”と“性能”のために
CPUグリスは、PCパーツのなかでは廉価ながらも、PCの冷却性能、安定性、そして性能を左右する、”非常に重要”なパーツだ。自作PCを組むときはもちろん、メーカー製PCでも長年使っているとグリスが劣化している場合がある。CPUクーラーの交換やメンテナンスの際には、CPUグリスの塗り替えも検討しよう。グリスをチェックして、お手軽に性能アップだ!