【ゲーマー必見】モニターの「反応速度」、1msと5msで“何”が変わる? 残像感をなくす選び方

フレームレートの違いによるモーションブラー

PCゲームをプレイする上で、グラフィックの美しさも重要だが、それ以上に気になるのが「滑らかさ」だ。この「滑らかさ」を決めるものとしてはフレームレートが注目されがちだが、それと同じくらい重要なのがモニターの「反応速度(応答速度)」だ! 今回は、このモニターの反応速度について、その意味や数値の違い、選び方などを詳しく解説していくぞ!

1. 反応速度(応答速度)とは?:画面の色が変わる“スピード”

モニターの反応速度(応答速度とも呼ばれる)とは、画面上のピクセル(画素)が、ある色から別の色へと変化するのにかかる時間のことだ。

1-1. 単位は「ms」(ミリ秒):数値が小さいほど“速い”

反応速度は、「ms(ミリ秒)」という単位で表される。1msは1000分の1秒。この数値が小さいほど、色の変化が速いことを意味する。

1-2. なぜ重要?:動きの速い映像の“残像感”に直結

反応速度が遅いと、画面上の動きが速い映像を表示した際に、前のフレームの色が残り、像がブレて見える「残像感(モーションブラー)」が発生しやすくなる。特に、動きの激しいゲームやスポーツ観戦などでは、この残像感が視認性を低下させ、ストレスの原因となる。

ブレた車の写真

写真でいう「ブレる」と同じ意味だ

2. 反応速度の違いを“体感”:1ms vs 5ms、具体的に何が変わる?

反応速度によるモーションブラーの違い

では、反応速度の数値の違いは、実際にどのように見えるのだろうか?

2-1. 1ms(またはそれ以下):動きの速い映像も“クッキリ”表示

1ms以下の非常に速い反応速度を持つモニターは、FPS(一人称視点シューティング)や格闘ゲームなど、一瞬の判断が重要となるゲームにおいて、敵の動きや弾道を“クッキリ”と捉えることができる。残像感がほとんどなく、非常にクリアな映像表示が可能だ。

2-2. 5ms前後:一般的な用途なら“十分”、ゲームの種類によっては気になる?

5ms前後の反応速度は、一般的なPC作業や動画視聴においては、ほとんど問題にならないレベルだ。ただし、非常に動きの速いゲーム、特に競技性の高いゲームでは、わずかな残像感を感じる可能性がある。

2-3. 10ms以上:残像感(モーションブラー)が“目立つ”可能性

反応速度が10msを超えてくると、動きの速い映像では残像感が目立ちやすくなる。ゲームはもちろん、スポーツ観戦などでも、動きについていけず、ストレスを感じるかもしれない。

3. 用途別! 最適な反応速度の“目安”:使い方に“フィット”するのは?

どの程度の反応速度が必要かは、モニターの主な使い方によって変わってくる。

3-1. FPS・格闘ゲーム:“一瞬”が勝負! → 1ms以下 (GtG) が理想

敵の発見や反応の速さが勝敗を分けるFPSや格闘ゲームでは、残像感を極限まで抑える必要がある。可能であれば、反応速度1ms(GtG)以下のモデルを選びたい。

3-2. レースゲーム・アクションゲーム:滑らかな動きを重視 → 1ms~5ms (GtG) が目安

高速で流れる風景や、激しいアクションシーンを滑らかに表示するためには、速い反応速度が望ましい。1msから5ms(GtG)程度のモデルが適している。

3-3. RPG・シミュレーションゲーム:そこまでシビアではない → 5ms前後でも十分な場合が多い

比較的動きの少ないRPGやシミュレーションゲームでは、反応速度の要求はそれほど高くない。5ms前後のモデルでも、十分に楽しめるだろう。

3-4. 動画視聴:一般的な映画やアニメなら → 5ms前後で問題なし

映画やアニメなどの一般的な動画コンテンツでは、5ms程度の反応速度があれば、特に問題なく視聴できる。

3-5. ビジネス・普段使い:Web閲覧、文書作成 → 5ms~10ms程度でも可

Webサイトの閲覧や文書作成といった、動きの少ない作業がメインであれば、5ms~10ms程度の反応速度でも、大きな支障はないだろう。

4. 【要注意】反応速度の“測定方法”の違い:GtG と MPRT

モニターのスペック表を見ると、反応速度の測定方法として「GtG」や「MPRT」といった表記があることに気づくだろう。これらは測定方法が異なり、数値の意味合いも違うため注意が必要だ。

4-1. GtG (Gray to Gray):中間色から別の中間色への変化速度。“一般的”な指標

GtGは、灰色(Gray)から別の灰色(Gray)へとピクセルの色が変わるのにかかる時間を測定する方法だ。最も一般的で、多くのモニターで採用されている指標。数値が小さいほど、基本的な色の切り替えが速いことを示す。

4-2. MPRT (Moving Picture Response Time):動画応答速度。映像の残像感を測る指標

MPRTは、動いている映像(Moving Picture)を見たときの応答時間、つまり残像感を測定する方法だ。バックライトの制御技術(黒挿入など)によって数値を向上させることが可能。MPRT 1msは、GtG 1msよりも残像感を低減する効果が高い場合があるが、画面のちらつきや輝度低下を伴うこともある。

4-3. どっちを信じるべき?:「GtG」を基本に、用途に応じて「MPRT」も参考に

一般的には、GtGの数値を比較するのが基本となる。MPRTは、特にゲーム用途で残像感を重視する場合に参考にすると良いだろう。ただし、MPRTの数値だけを見て判断せず、GtGの数値やレビューなども確認することが重要だ。

5. “爆速”の裏技? 「オーバードライブ機能」とは

モニターによっては、「オーバードライブ」と呼ばれる機能を搭載しているものがある。

5-1. 電圧を上げて応答速度を“強制的に”向上

オーバードライブは、ピクセルに加える電圧を一時的に高めることで、色の変化を速め、応答速度を向上させる機能だ。多くのゲーミングモニターに搭載されている。

5-2. 設定を上げすぎると“逆効果”?:オーバーシュート(画像の乱れ)に注意

オーバードライブの設定を強くしすぎると、色が目標の色を通り越してしまう「オーバーシュート」や、逆方向に色が残る「アンダーシュート」が発生し、映像が乱れる(逆残像、アーティファクト)ことがある。適切な設定で使用することが重要だ。

6. まとめ:反応速度を理解して、“残像感ゼロ”の快適な映像体験を!

モニターの反応速度は、特に動きの速い映像を見る際に、残像感や視認性に大きく影響する重要なスペックだ。1msと5msでは、特にゲームにおいて体感できる差がある。測定方法(GtG、MPRT)の違いやオーバードライブ機能についても理解した上で、自分の使い方に合った反応速度のモニターを選んでほしい。そして、反応速度を“極めて”、残像感のない”クリア”で”快適”な映像体験を手に入れて、ゲーム世界に“没入”せよ!