過酷な環境でも“へっちゃら”!? 米軍MIL規格について徹底解説【MIL-STD-810】

MIL規格のロゴ

タフネススマホや頑丈なノートPCのスペック表で、「MIL-STD-810G」や「MIL-STD-810H」といった表記を見たことはないだろうか? これらは、通称「MIL規格」や「ミリタリーグレード」と呼ばれるもので、製品の耐久性を示す指標の一つとなっている。今回は、この「MIL規格」について、詳しく解説していくぞ!

1. 「MIL-STD-810」とは?:米軍が定める“過酷”な環境試験規格

「MIL-STD-810」は、アメリカ国防総省が制定した、軍用物資の調達規格だ。正式名称は「MIL-STD-810 Environmental Engineering Considerations and Laboratory Tests」だ。長い!

1-1. 米国防総省が制定、軍用物資の“耐久性”を保証

「MIL-STD-810」は、軍用機器が過酷な環境下でも正常に動作することを保証するための、様々な試験項目を定めている。

1-2. 「G」や「H」って何? 改訂版による“違い”

「MIL-STD-810」は、時代とともに改訂されており、「MIL-STD-810G」や「MIL-STD-810H」など、末尾にアルファベットが付く。「G」は2008年に発行されたバージョン、「H」は2019年に発行された最新バージョンだ。試験項目の追加や変更などが行われている。

1-3. “準拠”と“合格”は違う? メーカー独自の試験も

「MIL-STD-810G準拠」や「MIL-STD-810H準拠」と記載されている製品は、必ずしもMIL規格のすべての試験項目に合格しているわけではない。メーカーが独自に選んだ試験項目のみを実施し、「準拠」と謳っている場合もある。

2. 「MIL-STD-810」の試験項目:どんな“過酷”なテストがある?

「MIL-STD-810」には、非常に多くの試験項目がある。代表的なものを紹介しよう。

  •  落下試験:スマホの“天敵”? 高さや回数は?
    スマートフォンやノートPCなど、落下による衝撃に耐えられるかをテストする。高さや落下回数、落下させる面(コンクリートなど)は、製品によって異なる場合がある。
  • 防水・防塵試験:水没や砂塵から“どこまで”守れる?
    水没や粉塵に対する耐性をテストする。軍隊は砂漠や湖沼地帯でも活動するわけだから、こういった性能も重要視されるわけだ。
  • 温度試験:高温・低温、急激な温度変化にも耐える?
    高温環境、低温環境、そして急激な温度変化に対する耐性をテストする。
  • 振動試験:移動中の“揺れ”にも対応?
    輸送中や使用中に発生する振動に対する耐性をテストする。
  • その他:低圧、塩水噴霧、太陽光照射… “過酷”なテストの数々
    他にも、低圧環境、塩水噴霧、太陽光照射など、軍隊が遭遇しうる様々な環境下での試験項目が定められている。

3. 「MIL-STD-810」のメリット:製品選びの“安心材料”に

「MIL-STD-810」に準拠した製品は、以下のようなメリットがある。

3-1. 過酷な環境下での“信頼性”

MIL規格は、過酷な環境下での使用を想定した試験をクリアしているため、一般的な製品よりも信頼性が高いと言える。

3-2. 長く使える“耐久性”

MIL規格に準拠した製品は、耐久性が高く、長く使える可能性が高い。

3-3. アウトドアや現場作業での“安心感”

アウトドアや工事現場など、過酷な環境で使う場合でも、MIL規格準拠の製品なら安心感がある。

4. 「MIL-STD-810」の注意点:過信は禁物! “万能”ではない

「MIL-STD-810」は、あくまでも“目安”であり、過信は禁物だ。

4-1. 試験項目は“一部”? 全項目クリアとは限らない

メーカーが独自に試験項目を選んでいる場合があるため、例えば「MIL-STD-810G準拠」と記載されていても、すべての試験項目をクリアしているとは限らない。

4-2. “劣化”は防げない? 経年劣化は避けられない

MIL規格は、新品の状態での性能を保証するものであり、経年劣化による性能低下を防ぐものではない。

4-3. “破損”しない保証ではない? 使い方次第では壊れる

MIL規格に準拠していても、乱暴に扱ったり、想定外の使い方をすれば、破損する可能性はある。

5. まとめ:「MIL-STD-810」は“目安”の一つ! “過信せず”に製品を選ぼう

「MIL-STD-810」は、製品の耐久性を示す“信頼できる指標”の一つなので、ぜひ製品選びの参考にしてほしい。とはいえ、「MIL-STD-810」準拠だからといって過信せず、大切な機器は丁寧に扱うように心がけよう!