ガチ比較! RX 7800 XT vs RTX 4070: 結局、どっちを選ぶべき?

2枚ならんだGPUのイメージ

PCゲーマーにとって、グラフィックボード(GPU)選びは“永遠のテーマ”だ。特に、WQHD解像度での快適なゲームプレイを目指す上で、ミドルハイクラスのGPUは非常に重要な選択肢となる。今回は、その中でも特に注目度が高い、AMDの「Radeon RX 7800 XT」とNVIDIAの「GeForce RTX 4070」を徹底的に比較していくぞ

1. スペックシートを“読み解く”:RX 7800 XT vs RTX 4070、基本性能の“違い”

まずは、両GPUのスペックシートから、その基本的な性能の違いを見ていこう。

スペック Radeon RX 7800 XT GeForce RTX 4070
アーキテクチャ RDNA 3 Ada Lovelace
プロセスルール 5nm + 6nm 5nm
コンピュートユニット/CUDAコア 60 CU 5888 コア
ゲームクロック 2124 MHz 1920 MHz
ブーストクロック 2430 MHz 2475 MHz
メモリ容量 16GB GDDR6 12GB GDDR6X
メモリインターフェース 256-bit 192-bit
メモリ帯域幅 624 GB/s 504 GB/s
消費電力(TDP) 263W 200W
レイトレーシング 対応 (第2世代 Ray Accelerator) 対応 (第3世代 RTコア)
アップスケーリング技術 FSR (FidelityFX Super Resolution) DLSS (Deep Learning Super Sampling)

1-1. アーキテクチャ:RDNA 3 vs Ada Lovelace、設計思想の違い

RX 7800 XTはAMDの「RDNA 3」、RTX 4070はNVIDIAの「Ada Lovelace」という最新世代のアーキテクチャを採用している。それぞれ電力効率やレイトレーシング性能の向上が図られているが、設計思想には違いがある。

1-2. プロセッサコア:CU数とCUDAコア数、単純比較はできない?

RX 7800 XTは60基のコンピュートユニット(CU)、RTX 4070は5888基のCUDAコアを搭載。これらのコア数は直接比較できないが、GPUの演算能力を示す重要な指標だ。

1-3. メモリ性能:容量、バス幅、帯域幅… ゲーム体験への影響は?

RX 7800 XTは16GB GDDR6、RTX 4070は12GB GDDR6Xのメモリを搭載。メモリ容量は、高解像度設定やテクスチャ品質が高いゲームで重要となる。RX 7800 XTはメモリバス幅と帯域幅でもRTX 4070を上回っており、これが高解像度での性能差に影響する可能性がある。

1-4. クロック周波数:ブーストクロックだけで判断するのは“早計”?

ブーストクロックはRTX 4070の方が高いが、ゲームクロック(実際のゲームプレイ中の平均的なクロック)はRX 7800 XTの方が高い。クロック周波数だけで性能を判断するのは難しい。

1-5. 消費電力(TDP):ワットパフォーマンスも重要指標

TDP(熱設計電力)はRTX 4070の方が低い(200W vs 263W)。これは、電力効率、つまりワットパフォーマンスではRTX 4070が有利であることを示唆している。PCケースの冷却性能や電源ユニットの容量にも関わってくる要素だ。

2. 実力はベンチマークで!:ゲーム性能を“徹底”比較

ゲームをPCでプレイしている人

スペックだけでは分からない実際の性能差を、ゲームのベンチマークテストで比較してみよう。

2-1. WQHDゲーミング:本命の解像度でのパフォーマンス

WQHD(2560x1440)解像度は、両GPUにとって最も得意とする領域だ。多くのゲームにおいて、RX 7800 XTとRTX 4070は非常に近いパフォーマンスを示すことが多い。ゲームタイトルによってはRX 7800 XTがやや優位に立つ場面もあれば、RTX 4070が僅差で上回る場面もある。まさに“好敵手”と言えるだろう。

2-2. 4Kゲーミング:どこまで“快適”にプレイできる?

4K(3840x2160)解像度になると、RX 7800 XTのメモリ帯域幅の広さが活きてくる場面が増え、RTX 4070に対して優位性を示すゲームが多くなる傾向にある。ただし、どちらのGPUも最高設定での4Kゲーミングは厳しい場面もあり、設定調整やアップスケーリング技術の活用が前提となる。

2-3. フルHDゲーミング:高リフレッシュレート環境での“強さ”

フルHD(1920x1080)解像度では、どちらのGPUも非常に高いフレームレートを叩き出す。高リフレッシュレートモニターとの組み合わせで、競技性の高いゲームも快適にプレイできるだろう。CPUボトルネックが発生しやすくなるため、CPU性能も重要となる。

2-4. レイトレーシング性能:“リアル”な光表現、得意なのは?

NVidiaのレイトレーシング

レイトレーシングは、光の反射や屈折をリアルに再現する技術だが、GPUへの負荷が高い。この分野では、NVIDIAの第3世代RTコアを搭載するRTX 4070が、RX 7800 XTよりも高いパフォーマンスを発揮する傾向にある。レイトレーシングを重視するなら、RTX 4070が有利だ。

3. “+α”の機能比較:アップスケーリング技術と独自機能

NVidiaのDLSS

ゲーム性能を向上させるアップスケーリング技術や、その他の独自機能も比較してみよう。

3-1. FSR vs DLSS:フレームレート向上技術の“違い”と“画質”

  • AMD FSR (FidelityFX Super Resolution):RX 7800 XTが対応。オープンソースであり、対応GPUが幅広いのが特徴。画質はDLSSにやや劣るという意見もあるが、バージョンアップで改善されている。
  • NVIDIA DLSS (Deep Learning Super Sampling):RTX 4070が対応。AIを活用し、高画質を維持しながらフレームレートを向上させる。DLSS 3のフレーム生成機能は対応ゲームで劇的な効果を発揮するが、RTX 40シリーズ限定。

3-2. AMD HYPR-RX vs NVIDIA Reflex:低遅延技術

どちらのGPUも、入力遅延を低減する技術(HYPR-RX内のRadeon Anti-Lag、NVIDIA Reflex)に対応しており、競技性の高いゲームで有利になる。

3-3. AV1エンコード:動画配信や録画でのメリット

両GPUともに、高画質・高圧縮なAV1コーデックのハードウェアエンコードに対応している。動画配信やゲーム録画の画質向上、ファイルサイズ削減に貢献する。

3-4. その他:AMD Software vs GeForce Experience

ドライバソフトウェアや関連ユーティリティ(AMD Software: Adrenalin Edition、NVIDIA GeForce Experience)の使い勝手や機能も、好みが分かれるポイントだろう。

4. 価格とコストパフォーマンス:予算内で“ベスト”な選択は?

プライスタグの貼られたGPU

4-1. 実勢価格の比較:どちらが“お買い得”?

発売時期や市場の状況によって価格は変動するが、一般的にRTX 4070の方がやや安価な傾向にある。ただし、性能差を考慮すると、どちらが“お買い得”かは一概には言えない。

4-2. ワットパフォーマンス:消費電力あたりの性能で比較

前述の通り、TDPはRTX 4070の方が低いため、ワットパフォーマンス(消費電力あたりの性能)ではRTX 4070が優れている。電気代や発熱を気にするなら、RTX 4070が有利だ。

4-3. 長期的な視点:ドライバ更新や将来性

両メーカーともに、ドライバの更新による性能改善や機能追加を行っている。どちらを選ぶにしても、長期的なサポートは期待できるだろう。将来性については、VRAM容量で勝るRX 7800 XTにアドバンテージがあるという見方もある。

5. RX 7800 XTがおすすめな人:こんなユーザーに“刺さる”!

AMDのGPUチップのイメージ

以下の点を重視するなら、RX 7800 XTがおすすめだ。

5-1. WQHD/4K解像度での“高フレームレート”を求める

特に4K解像度でのゲームプレイにおいて、より高い描画性能を求めるユーザー。

5-2. VRAM容量の“余裕”を重視する

16GBの大容量VRAMは、高解像度テクスチャを使用するゲームや、将来的なゲームタイトルの要求スペックを見据えた場合に安心感がある。

5-3. レイトレーシングよりも“純粋な描画性能”を優先する

レイトレーシング機能は使うが、それよりもラスタライズ性能(従来の描画性能)を重視するユーザー。

5-4. コストパフォーマンスを“重視”する

性能に対する価格、特に高解像度でのパフォーマンスを考慮した場合のコストパフォーマンスを重視するユーザー。

6. RTX 4070がおすすめな人:こんなニーズに“応える”!

GeForce RTXの搭載されたPC

以下の点を重視するなら、RTX 4070がおすすめだ。

6-1. レイトレーシングを“積極的に”活用したい

レイトレーシングによるリアルな映像表現を重視し、対応ゲームで高いパフォーマンスを求めるユーザー。

6-2. DLSS対応ゲームを“最大限”に活かしたい

DLSS(特にDLSS 3のフレーム生成)に対応したゲームを多くプレイし、フレームレートを大幅に向上させたいユーザー。

6-3. NVIDIAの“独自機能”(Reflex, Broadcast等)を使いたい

NVIDIA Reflexによる低遅延、NVIDIA Broadcastによる配信・通話品質向上など、NVIDIA独自の機能に魅力を感じるユーザー。

6-4. 消費電力を“抑えたい”

GPUの消費電力を抑えたい、ワットパフォーマンスを重視するユーザー。

7. まとめ:RX 7800 XT vs RTX 4070、”後悔しない”選択のために

Radeon RX 7800 XTとGeForce RTX 4070は、どちらもWQHDゲーミングにおいて非常に優れたパフォーマンスを発揮する、魅力的なGPUだ。RX 7800 XTは純粋な描画性能とVRAM容量、RTX 4070はレイトレーシング性能、DLSS、電力効率に強みを持ち点どちらを選ぶべきかは、何を最も重視するかによって変わってくる。例えば、レイトレーシングやDLSSを多用するならRTX 4070、高解像度での描画性能やVRAM容量を重視するならRX 7800 XT、といった具合だ。今回の比較を参考に、あなたのプレイスタイルや予算に”最適”なGPUを選び、最高のゲーミング体験を手に入れてほしい! そして、GPU選びでゲームの世界を“極め”よう!