Gen5の2倍速い⁉ Micronが「PCIe 6.0 SSD」を量産開始の噂。消費者向けはいつ来る?

MicronのGen6 SSDの製品画像

自作PC市場ではようやく「PCIe 5.0 (Gen5) SSD」がハイエンドPCなどで導入され始めたものの、高騰による逆風でメジャーになるまでは至っていないこのごろ。

なんと、メモリ巨人のMicron(マイクロン)が、世界初となる「PCIe 6.0 対応SSD」の量産を開始したようだ。まだGen5 SSDも普及していないのに気が早い話だが、今回は、この異次元のストレージが一体どれだけ速いのか、そして我々のPCにはいつ降りてくるのかを解説していくぞ!

1. 世界初! Micron「9650シリーズ」が量産開始へ

Tom's Hardwareなどの報道によると、MicronはFADU(ファドゥ)製コントローラを採用した「Micron 9650シリーズ」の量産体制に入ったとのことだ。

1-1. 最大転送速度 28GB/s:Gen5の限界(14GB/s)を軽々倍増

現在最速のコンシューマー向けGen5 SSDが、必死に冷却してようやく14.5GB/s (14,500MB/s) 前後だ。

しかし、今回量産されるPCIe 6.0 SSDは、なんと28GB/s (28,000MB/s) に達する。単純計算で2倍だ。ブルーレイディスク1枚分のデータを、指を鳴らす間に転送できるレベル。もはや「速い」という言葉では表現しきれない領域に突入している。

Gen5 SSDとの速度の比較表

速度の比較表。引用元: Micron

1-2. 制御チップはFADU製「FC6100」を採用

この爆速を実現する心臓部(SSDコントローラ)には、韓国のファブレスメーカーFADU社の最新チップ「FC6100」が採用されている。これにMicronご自慢の2xx層 3D NANDフラッシュを組み合わせることで、理論値に近い性能を叩き出しているわけだ。

1-3. ターゲットは「AIデータセンター」:一般人が買うものではない?

「よし、アキバに買いに行くか!」と思った方、ちょっと待ってほしい。

この9650シリーズは、あくまでエンタープライズ(企業・データセンター)向けだ。形状も我々にお馴染みの「M.2」ではなく、サーバー向けの「E1.S」や「E3.S」といった規格になっている。

今、世界中で爆発的に需要が増えている「AIサーバー」が、膨大なデータを処理するために、この超高速ストレージを喉から手が出るほど欲しているのだ。

2. PCIe 6.0は何が凄いの? 技術的な「ブレイクスルー」

なぜ、いきなり速度が2倍になったのか? それは通信方式が根本的に変わったからだ。

まず、これまでのPCIe 5.0までは「NRZ(0か1か)」でデータを送っていた。しかしPCIe 6.0からは「PAM4(パルス振幅変調4レベル)」という技術が導入された。これは電圧のレベルを4段階に分け、1回の送信で2ビット(00, 01, 10, 11)を送る仕組みだ。

道路の幅(レーン数)は変えずに、トラックに積む荷物を無理やり2倍にしたようなもので、これにより帯域幅が倍増したのである。

3. 我々(消費者)が使えるのはいつ? 普及へのハードル

では、この技術が我々のゲーミングPC(M.2 SSD)に降りてくるのはいつになるのか?

3-1. マザーボードがない:Intel/AMDの次世代プラットフォーム待ち

最大の壁は、そもそも「挿す場所がない」ことだ。

2026年現在の最新マザーボードでも、M.2スロットはPCIe 5.0まで。CPU側もPCIe 6.0レーンを持っていない(サーバー向けXeonなどは別だが)。消費者向けにPCIe 6.0が解禁されるのは、早くても2027年以降の次世代プラットフォーム(IntelならNova Lake以降、AMDならZen 6以降)になるだろう。

3-2. 発熱問題:空冷は限界? 「液冷」前提の設計も

Micronの9650シリーズの資料には、冷却方式として「空冷」だけでなく「液冷」への対応も明記されている。

Gen5 SSDでさえ、巨大なヒートシンクやファンが必要だった。さらに倍の速度で動くGen6 SSDを、小さなM.2スロットに押し込んで冷やし切れるのか? 今後はSSDも冷却クーラーを付けるのが当たり前になるかもしれない。

3-3. 体感速度:ゲームロードに28GB/sも必要か?

そもそも、現状のゲームにおいてGen4 (7GB/s) とGen5 (14GB/s) のロード時間差は誤差レベルであることが多く、なかなか恩恵を受けられない。

それがさらに28GB/sになったところで、OSやゲーム側の処理が追いつかなければ、体感速度は変わらない。一般ユーザーにとっては、しばらくは「オーバースペック」な存在であり続けるだろう。

4. まとめ:2026年はまだ「Gen4/Gen5」が主役。Gen6は“未来のロマン”

ついに量産が始まったPCIe 6.0 SSDだが、それはあくまでAIやデータセンターといった産業向けとしての話だ。

我々ゲーマーや自作PCユーザーの手元に届くのは、早くても2027年後半〜2028年頃になるだろう。果たしてそれだけのスペックが必要になるのかはわからないが、未来の「28GB/s」というロマンに思いを馳せておこう!