パソコンやモニターを新調する際、映像出力端子の種類に悩んだことはないだろうか? HDMI、DVI、VGA……。様々な規格が乱立する中、近年“存在感”を増しているのが「DisplayPort」だ。今回は、この「DisplayPort」の規格について、徹底的に解説する。
- 1. 「DisplayPort」とは?:VESAが策定した“次世代”映像インターフェース
- 2. 「DisplayPort」の“ココがすごい”! HDMIにはない“4つ”のメリット
- 3. 「DisplayPort」の“落とし穴”:導入前に“確認すべき”ポイント
- 4. 用途別で選ぶ! “最適”な「DisplayPort」規格
- 5. “最新規格”「DisplayPort 2.1」は何がすごい?
- 6. まとめ:「DisplayPort」で“未来”の映像体験を! “最適”な規格を選んで、“最高”の環境を構築しよう
1. 「DisplayPort」とは?:VESAが策定した“次世代”映像インターフェース
1-1. HDMIとの“違い”は? “パソコン向け”に強い規格
「DisplayPort」は、VESA(Video Electronics Standards Association)という業界団体によって策定された、映像出力インターフェース規格だ。HDMIとよく比較されるが、DisplayPortは、もともとパソコンとディスプレイの接続を想定して開発された規格であり、“パソコン向け”の機能が充実している。
1-2. “多彩”なコネクタ形状:スタンダード、Mini、USB-C……
DisplayPortには、スタンダード、Mini DisplayPort、そしてUSB Type-Cコネクタを利用する「DisplayPort Alternate Mode」など、複数のコネクタ形状が存在する。
1-3. “要チェック”! おもなバージョンの特徴
DisplayPortは、これまで何度かバージョンアップを重ね、性能を向上させてきた。
- バージョン1.2:4K/60Hzの出力に対応。また、複数のディスプレイを数珠つなぎにできる「デイジーチェーン」接続も、このバージョンからサポートされた。“実用レベル”の4K対応を果たした、重要なバージョンと言える。
- バージョン1.4:8K/30Hzや4K/120Hzの出力に対応。さらに、映像の圧縮伝送技術である「Display Stream Compression (DSC)」や、高輝度表示を可能にする「HDR」にも対応し、表現力が“格段に”向上した。
- バージョン2.0:最大77.37Gbpsのデータ転送レートを実現し、16K(15360×8640)/60Hzの出力にも対応。“規格上の性能”は、まさに“驚異的”だ。
- バージョン2.1:2022年10月に発表された“最新規格”。基本的に2.0と同じだが、細かい部分が修正されている。
バージョン | 最大解像度 / リフレッシュレート (非圧縮) | 最大解像度 / リフレッシュレート (DSC使用時) | データレート | リリース時期 |
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DisplayPort 1.2 |
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17.28 Gbit/s | 2010年 |
DisplayPort 1.3 |
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25.92 Gbit/s | 2014年 |
DisplayPort 1.4 |
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25.92 Gbit/s | 2016年 |
DisplayPort 2.0 / 2.1 |
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77.36 Gbit/s | 2019年 (2.0) 2022年 (2.1) |
2. 「DisplayPort」の“ココがすごい”! HDMIにはない“4つ”のメリット
DisplayPortは、HDMIと比べて、以下のようなメリットがある。
2-1. “マルチディスプレイ”が簡単! デイジーチェーン接続に標準対応
DisplayPortは、複数のディスプレイを数珠つなぎにできる「デイジーチェーン」接続に標準対応している。対応するモニターとDisplayPort 1.2以上を使うことで、複数のモニターを簡単に接続できる。これにより、ケーブルの配線がスッキリし、マルチディスプレイ環境を“スマート”に構築できる。
2-2. “高リフレッシュレート”に対応! ゲーミングモニターとの“相性抜群”
DisplayPortは、HDMIよりも高リフレッシュレートの映像出力に対応しやすい。そのため、144Hzや240Hzといった、高リフレッシュレートのゲーミングモニターとの“相性”が非常に良い。
2-3. “Adaptive-Sync”で“滑らか”表示! ゲームのティアリングやスタッタリングを抑制
DisplayPortは、AMDの「FreeSync」や、NVIDIAの「G-SYNC Compatible」といった、可変リフレッシュレート技術「Adaptive-Sync」に対応している。これにより、ゲームなどで発生する、画面のティアリング(ずれ)やスタッタリング(カクつき)を抑え、“滑らか”な映像表示を実現できる。
2-4. “無償”で利用可能! ロイヤリティフリーの“オープン規格”
DisplayPortは、HDMIのようにライセンス料を支払う必要のない、ロイヤリティフリーの規格だ。そのため、メーカーはライセンス料の負担なく、DisplayPort対応機器を製造できる。これも、DisplayPort対応機器が“普及”している理由の一つだろう。
3. 「DisplayPort」の“落とし穴”:導入前に“確認すべき”ポイント
3-1. 対応機器はHDMIに比べて“まだ少なめ”
DisplayPortは、HDMIと比べると、対応機器の数がまだ少ない。特に、テレビやAVアンプなどでは、HDMIのみ対応という機器も多い。
3-2. ケーブルの“品質”に注意! 粗悪品は“トラブル”の原因に
DisplayPortケーブルの中には、品質の悪い製品も存在する。粗悪なケーブルを使用すると、映像が正常に表示されない、ノイズが発生するなどのトラブルの原因となるため、“信頼できるメーカー”の製品を選ぼう。
3-3. バージョン間の“互換性”は? 基本的には下位互換性あり
DisplayPortは、基本的に新しいバージョンの機器と古いバージョンのケーブルを接続しても、古い方のバージョンで動作する。
しかし、バージョン2.0以上の性能を生かすには、対応するケーブルが必要となる。
DisplayPort 2.0以降に対応するケーブルには、「DP40」「DP80」といったロゴが記載されているので、これを目印にすると良いだろう。
4. 用途別で選ぶ! “最適”な「DisplayPort」規格
4-1. 4K/60Hzの“一般的な”用途なら、バージョン1.2以上でOK
4K/60Hzの出力に対応したモニターで、一般的な用途に使うのであれば、DisplayPort 1.2以上のケーブルで“十分”だ。
4-2. 4K/144Hz以上の“ハイエンド”ゲーミングなら、バージョン1.4以上
4K/144Hz以上の高リフレッシュレート出力に対応した、ハイエンドゲーミングモニターを使う場合は、DisplayPort 1.4以上のケーブルが“必須”となる。
4-3. 8Kや“将来性”を重視するなら、バージョン2.0以上
8K出力に対応したモニターを使う場合や、将来的なアップグレードを考慮するなら、DisplayPort 2.0以上のケーブルを選んでおくと“安心”だ。
5. “最新規格”「DisplayPort 2.1」は何がすごい?
5-1. 最大80Gbpsの“超高速”データ転送! 16K/60Hzも視野に
DisplayPort 2.1は、バージョン2.0と基本的に同じで、最大80Gbps(有効帯域は77.37 Gbps)のデータ転送レートを実現。これにより、非圧縮で8K/60Hz、圧縮時には16K/60Hzの出力も“理論上”可能となる。“将来性”は“抜群”だ。
5-2. USB4との統合で“さらに便利”に
DisplayPort 2.1では、USB4との統合が進められている。これにより、将来的には、映像出力とデータ転送を1本のケーブルでまかなえるようになる可能性もある。
6. まとめ:「DisplayPort」で“未来”の映像体験を! “最適”な規格を選んで、“最高”の環境を構築しよう
「DisplayPort」は、特にパソコンとモニターを接続する際に、HDMIよりも“優れている”点が多い、注目の映像出力規格だ。その“メリット”を理解し、自分の用途に合った“最適”な規格を選ぶことで、より快適で、より高画質な映像体験を実現できるだろう。