
Intel Core i9やAMD Ryzen 9といった最新のハイエンドCPUは、驚異的なパフォーマンスを発揮する一方で、その“代償”として凄まじい熱を発生させる。空冷クーラーでも高性能なモデルはたくさんあるが、「CPUの性能を100%引き出したい!」「PCケースの中をスッキリさせたい!」「何より、見た目がカッコいいPCを組みたい!」…そんな“欲張り”な君の願いを叶えてくれるのが、「簡易水冷CPUクーラー(AIOクーラー)」だ! 今回は、そんな簡易水冷クーラーを、その“心臓部”であるラジエーターのサイズと、冷却能力の目安となるTDPでクラス分けし、それぞれのおすすめ鉄板モデルを紹介していくぞ!
- 1. 簡易水冷クーラー選びの“超基本”:ラジエーターサイズとTDPを理解する
- 2. TDP“以外”のチェックポイント:静音性、デザイン、取り付けやすさ
- 3. 【TDP・ラジエーターサイズ別】おすすめ簡易水冷CPUクーラー
- 4. 簡易水冷クーラー導入の“注意点”:購入前に“必ず”確認!
- 5. まとめ:簡易水冷で“究極”の冷却環境を! “最適”な一台でPCの性能を“解放”せよ
1. 簡易水冷クーラー選びの“超基本”:ラジエーターサイズとTDPを理解する

簡易水冷クーラー選びで、まず最初に理解しておくべき2つのポイントがある。
1-1. ラジエーターサイズ:120mm, 240mm, 280mm, 360mm… サイズが“冷却力”を決める!
簡易水冷の冷却性能は、冷却液の熱を放出する「ラジエーター」のサイズに大きく左右される。ラジエーターは搭載するファンのサイズと数で呼ばれることが一般的だ。
- 120mm (120mmファン x1):最もコンパクト。省スペースPC向けだが、冷却性能はミドルクラスの空冷に劣る場合も。
- 240mm (120mmファン x2):最も人気の高い“スタンダード”サイズ。多くのPCケースに対応し、高性能なCPUも十分に冷却可能。
- 280mm (140mmファン x2):240mmよりファンが大きく、低回転でも多くの風量を確保できるため、冷却性能と静音性のバランスに優れる。ただし、対応ケースが240mmより少ない。
- 360mm (120mmファン x3):大型で“最強クラス”の冷却性能を誇る。ハイエンドCPUのオーバークロックなど、極限の冷却を求めるユーザー向け。
ファンの性能などで多少異なるとはいえ、基本的には、ラジエーターサイズが大きいほど、冷却性能は高くなると覚えておこう。
1-2. TDP (熱設計電力):CPUの発熱量とクーラーの冷却能力の“指標”
TDPは、CPUが最大負荷時に発する熱量を示す指標(ワット)。クーラー側にも対応TDPが記載されている場合があり、「クーラーの対応TDP > CPUのTDP」となるように選ぶのが大原則だ。特に簡易水冷を選ぶような高性能CPUは、ブースト時にTDPを大きく超える電力を消費(=発熱)するため、十分な余裕を持ったモデルを選ぶことが重要になる。
2. TDP“以外”のチェックポイント:静音性、デザイン、取り付けやすさ

TDP以外にも、購入前に必ず以下の点を確認しておこう。
2-1. 物理的なサイズ(高さ・幅):PCケースに収まるか? 特に高さはサイドパネルに干渉しないか要チェック!
高性能なクーラーほど巨大化する傾向があるため、PCケースに物理的に収まるかどうかの確認は必須。特に、サイドパネルを閉める際の高さは重要だ。
2-2. メモリとの干渉:大型のクーラーは、メモリスロットに覆いかぶさることがある。背の高いヒートシンク付きメモリを使っている場合は特に注意が必要だ。
クーラーのヒートシンクやファンが、メモリスロットと干渉する可能性がある。背の高いヒートシンク付きのメモリを使っている場合は、クーラーの幅や形状を確認しよう。
2-3. ファンの静音性 (dBA):静かなPCを目指すなら、ファンの騒音レベル(dBA)も確認しよう。
ファンのスペック表に記載されている騒音レベル(dBA)は、静音性の目安となる。数値が小さいほど静かだ。
2-4. 対応ソケット:自分のマザーボードのCPUソケット(例:LGA1700, AM5)に対応しているか確認は必須。
クーラーが自分のマザーボードのCPUソケットに対応しているかどうかの確認は、最も基本的かつ、そして必須のチェックポイントだ。万が一対応していなかった場合、せっかくの新品のクーラーがただの置物になってしまうかもしれない。
3. 【TDP・ラジエーターサイズ別】おすすめ簡易水冷CPUクーラー
さあ、ここからは具体的なおすすめモデルを、ラジエーターサイズと対応TDPの目安でクラス分けして紹介していくぞ!
3-1. エントリークラス (120mm / ~TDP 180W):省スペース&“水冷入門”
Core i5/Ryzen 5クラスのCPUを、コンパクトなPCケースで運用したい場合に選択肢となる。ただし、同価格帯の空冷クーラーの方が性能が高い場合も多いので、慎重に選びたい。
- DeepCool LE300 Marrs
特徴:手頃な価格ながら、DeepCool独自の漏れ防止技術「Anti-Leak Tech」を搭載。CPUヘッドのライティングも美しい。
おすすめな人:「まずは簡易水冷を試してみたい」という入門者や、Mini-ITXなどの小型PCケースユーザーに。 - Cooler Master MasterLiquid 120L Core
特徴:PCパーツの老舗Cooler Masterの入門モデル。デュアルチャンバーポンプ設計で信頼性が高く、すっきりしたデザインも魅力だ。
おすすめな人:信頼できるブランドで、手頃な価格の120mm水冷を探している人に。
3-2. ミドルクラス (240mm / TDP 180W~250W):Core i7/Ryzen 7クラスに“最適”
ゲーミングPCで最も人気の高いクラス。Intel Core i7やAMD Ryzen 7といった高性能CPUを、静かに、そして確実に冷却できる。
- DeepCool LS520
特徴:高い冷却性能と、CPUヘッドの美しいインフィニティミラーデザインで大人気のモデル。ポンプも第4世代へと進化し、性能と静音性を高いレベルで両立している。
おすすめな人:性能とデザイン、どちらも妥協したくないユーザーにとっての“鉄板”モデル。
- NZXT KRAKEN 240
特徴:CPUヘッドに液晶ディスプレイを搭載し、CPU/GPU温度や好きな画像・GIFを表示できる、“魅せるPC”の代表格。冷却性能も非常に高く、静音性にも定評がある。
おすすめな人:PCのドレスアップにこだわり、最高のカスタマイズ性を求める人に。
3-3. ハイエンドクラス (280mm/360mm / TDP 250W~):Core i9/Ryzen 9を“完全に”冷却
Intel Core i9やAMD Ryzen 9といった、現行の“爆熱”CPUをオーバークロックしても余裕で対応できる、最強クラスの冷却性能を持つ。
- ARCTIC Liquid Freezer III 280/360
- 特徴:派手なライティングはないが、その純粋な冷却性能で多くのレビューサイトのトップを飾る“実力派”。厚みのあるラジエーターと高性能なP-Fan、さらにマザーボードのVRMを冷却するための小型ファンまで搭載している。
おすすめな人:見た目よりも“とにかく冷えること”を最優先する、パフォーマンス至上主義のユーザーに。280mmモデルは360mmモデルに匹敵する性能を持ち、静音性も高い。
- Corsair iCUE LINK TITAN 360 RX RGB
特徴:高性能な冷却能力と、Corsair独自のiCUEソフトウェアで制御する華やかな「CAPELLIX LED」ライティングを両立。静音性に優れた磁気浮上ベアリングファンも魅力。
おすすめな人:最高の冷却性能と、最も美しいライティングを両立させたいユーザーに。
4. 簡易水冷クーラー導入の“注意点”:購入前に“必ず”確認!
4-1. PCケースへの“搭載可否”:ラジエーターサイズと厚み
購入前に、自分のPCケースが搭載したいサイズのラジエーターに対応しているか、必ず仕様を確認しよう。特に、ラジエーターとファンの合計の「厚み」が、マザーボードのヒートシンクやメモリと干渉しないかは要注意だ。
4-2. ポンプ音:静音性を追求するなら“レビュー”をチェック
ファンの音だけでなく、ポンプから発生する「ジー」という音が気になる場合もある。こればっかりはスペック表からは分からないので、各種レビューサイトや動画で実際の動作音を確認するのがおすすめだ。
4-3. 寿命と保証期間:水漏れ補償の有無も重要
簡易水冷は構造上、空冷よりも故障リスクがある。長期保証(5年以上が目安)と、万が一の水漏れ時に他のPCパーツの損害を補償してくれる「水漏れ補償(リーク保証)」が付いている製品を選ぶと、精神的な安心感が段違いだ。
また、長期保証を提供しているメーカーは、それだけ製品の品質に自信を持っているということなので、実際の耐久性も優れていることが多い。
5. まとめ:簡易水冷で“究極”の冷却環境を! “最適”な一台でPCの性能を“解放”せよ
高い冷却性能とスタイリッシュなデザインが魅力の簡易水冷CPUクーラーは、ラジエーターサイズが冷却性能を大きく左右するため、まずは自分のCPUとPCケースに合わせて最適なサイズ(240mm, 280mm, 360mm)を選ぶことが重要だ。そして、冷却性能だけでなく、静音性、デザイン、保証などもチェックして、自分のPCにあった一台を見つけてほしい。適切な簡易水冷クーラーは、CPUの性能を“限界”まで引き出し、PCライフをより快適でエキサイティングなものにしてくれるはずだ!